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森にブナの巨木が帰ってきた? ポーラ美術館、森の湯歩道でアイ・ウェイウェイの彫刻作品を公開

アイ・ ウェイウェイ《鉄樹根》2015年

桜も咲いて、すっかり春らしくなりました。箱根はまだまだ雪がちらつく日もありますが、春から夏にかけて、アートと自然を楽しむにはぴったりの場所となります。箱根の中でも、とりわけ自然豊かな仙石原に位置する「ポーラ美術館」は富士伊豆箱根国立公園の森に沈められたアークのようにひっそりと立っています。

(キャプション)ポーラ美術館 森の遊歩道

 

森に隠されたガラスで覆われた美術館の周囲は、ブナやヒメシャラといった木々が群生する、四季折々の自然が楽しめる森になっています。この森の遊歩道「風の遊ぶ散歩道」には、坂東優や佐藤忠の彫刻作品が点在して展示されており、自然とともにアートも楽しめます。これからの季節、ポーラ美術館を訪れたら、遊歩道での散策をぜひおすすめしたいです。

この遊歩道にこのほど、世界的な現代美術家であるアイ・ウェイウェイ(艾未未/Ai Weiwei)の彫刻作品《鉄樹根(てつじゅこん)》が新たにコレクションに加わりました。その名の通り、巨木の根を思わせる外観を持ち、ヒメシャラやブナの森の中にありながら、遠くからでも「あ、あれだっ!」とを上げてしまう存在感を放っています。

アイ・ ウェイウェイ《鉄樹根》2015年 鉄, 220 x 205 x 205 cm ポーラ美術館蔵

 

アイ・ ウェイウェイ《鉄樹根》2015年 鉄, 220 x 205 x 205 cm ポーラ美術館蔵

 

アイ・ ウェイウェイ《鉄樹根》2015年 鉄, 220 x 205 x 205 cm ポーラ美術館蔵

 

ポーラ美術館 森の遊歩道「風の遊ぶ散歩道」、13番の場所にアイ・ウェイウェイ《鉄樹根》がある

 

2009年のインスタレーション作品《Rooted Upon》では、中国南部の山間で見つけた100本もの捻れた木の幹が展示されましたが、本作はこの系譜に連なるもの。また、2013年の《Iron Tree》と同様に、中国の伝統的な技法によって、樹木の一部を鉄を鋳造して作り出しています。“木の根のように目には見えない場所で複雑に絡み合う中国の縁故社会から、切り離され、独立した「個」のあり方、地中から白日の下に晒された力強い姿を象徴している” とのこと。

 

 

この作品を見ていると、ある木のことを思い出さずにはいられません。この遊歩道は2013年7月にグランドオーブンしたのですが、それに先駆けて、現在のブナ・ヒメシャラ鑑賞ポイントの位置まで仮オープンした2012年に見ることができたのですが、遊歩道の脇には、2010年に樹木としての寿命を全うし伐採されたブナの巨木がありました。このブナの巨木はおよそ300年にわたって、この森の生態系のバランスを保つ役割を果たしてきましたが、寿命を全うし、腐食が進んできたことから、枝が伐採されました。
 

2010年に枝を伐採されたブナの巨木(2012年撮影)

 

いまはその残された幹も森の中に沈み、地面の栄養となり、樹木の芽生えを助ける役割を果たしていると思われます。今回設置された《鉄樹根》からは、ポーラ美術館のみなさんの森を守ってきたブナへの感謝や、これから先、この森の保全に力を注いでいきたい、という決意が込められているように感じました。

 

チバヒデトシ(ジャーナリスト/美術館研究家)

 

ポーラ美術館 公式サイト http://www.polamuseum.or.jp
ポーラ美術館 森の遊歩道 http://www.polamuseum.or.jp/nature/
 

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